陶芸のすすめ

清水焼

清水焼は、もともと清水寺に向かう坂の周辺で作られていたことからそう呼ばれるようになった京焼のひとつです。京焼とは、清水焼を含めた他 の京都の焼き物の総称でしたが、現在では清水焼しか残っていないため、京焼と清水焼は同じように使われています。京都では、平安時代にこそ焼き物が行われ ていましたが、その後交通網の発展によって京都にはさまざまな物資が多く運ばれるようになり、焼き物も余所から運ばれてくるようになったためあまり作られ なくなっていました。京都で焼き物が再び作られるようになったのは、安土桃山時代に茶の湯が盛んになったのがきっかけです。清水焼の持つ京都独特の美意識 が織りなす美しい色彩や絵付けは、現在でも高く評価されています。逆に、日本独特のわびさびの文化を彷彿とさせる味のある作品も少なくありません。清水焼 の多様な美しさの中には、日本の文化がすべて溶け込んでいるのです。
清水焼は、絵付けや釉薬などに特に決まった特徴があるわけではありません。現在では京都で作られる焼き物全般を京焼・清水焼と称するため、磁器から陶器ま でさまざまなものが清水焼として作られています。現在でも数百件の窯元がある清水焼ですが、窯元によって作風が全く違うのも他の焼き物とは違うところで す。ただし、窯元が多いといってもそれぞれが家族単位の小さな窯元であることが多いので、その生産量や市場規模としては他の地域の陶芸に比べるとかなり小 さなものになります。絵付けの美しい清水焼は現在でも人気が高く、昔からさまざまな工芸に影響を与えるなど価値のあるものとして広く愛されており、後世に 伝えるべき美術品として経済産業大臣指定伝統工芸品及び京都府知事指定伝統的工芸品にも指定されています。

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