陶芸のすすめ

九谷焼

九谷焼は、石川県山中町九谷を発祥とする陶芸で、鮮やかで豪華な色彩が特徴の焼き物になります。1655年頃に作られるようになった古九谷 がそのはじめだといわれており、九谷五色とよばれる赤・黄・紫・紺青・緑で描かれた日本画的な様式が古九谷の特徴です。狩野派の影響を受けているといわれ ており、美術品のような美しい絵付けがされています。その後、時代によって新たな窯が次々と誕生し、赤い背景に中国風の人物が描かれた木米や、赤を使わず 他の4色で全面に精密な文様を描いた青久谷ともよばれる吉田屋、赤で精密に文様や人物を描いた上に金彩を施した飯田屋、古九谷や吉田屋などの特徴を融合し て作られた庄三、赤い背景に金のみで彩色した永楽など、独特の構図や彩色が時代によって作られてきました。通常、金彩や銀彩は最後に行われるため、使うこ とで徐々にはがれてしまいますが、九谷焼でおこなわれる釉裏金彩は、金箔を貼った上に透明の釉薬を施して焼成するため、金は釉薬の下から上品に浮き出して 見えるうえ、使ってもはがれないというメリットもあります。九谷焼では銀彩も釉薬をかける前に行うので、はがれたり変色したりすることもありません。ま た、粒(ちぶ)と呼ばれる技法は、盛り上がった細かい点をバランスよく配することによって、地模様のように立体感のある背景を作り出す技術です。均一な粒 をバランスよく配するのに非常に高度な技術が必要とされます。また、九谷焼は素焼きの後に下絵付けをして釉薬をかけて本焼きを行い、そのあとに本絵付けを して焼成、さらに金彩・銀彩などを行って釉薬をかけて焼成、といった手間のかかる工程で作成されます。なんども彩色と釉薬と焼成を繰り返すことによって、 深みのある美しい色彩が現れるのです。現在でもその華やかな作品は広く愛されており、絵付け体験なども人気です。九谷に近い山中温泉や山代温泉では観光客 向けに手軽に絵付け体験を行っているところも多いので訪れた際にはぜひ挑戦してみてください。

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